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大学3年の長男が、残りわずかな夏休みを利用して旅行したいと言う。
彼は8月に入ってからも、バイトだ集中抗議だと休まず大学に通い続けていたので、私も大賛成した。
どこへ行くのかと訊いてみると、風の向くまま気の向くままとキザな返事が返って来た。
我が家の経済から考えて、長男が優雅な旅行を楽しめるとは思えない。
「で、どうするの?ホテルの予約は?旅費は?」と、口だけは精一杯だす私。
「大丈夫やって!『青春18きっぷ』でいくから」
JRが発売しているこの切符、期間限定で快速・普通列車の自由席なら1日乗り放題。5枚つづりの回数券みたいなもので、価格は11500円也。

よくよく話を聞くと、手始めには東京へ、それから後はどこでも回れる限りは回って、最終的には奈良に住む親友たちと思いっきり呑むのだそうだ。
途中の宿泊は、カプセルホテルなどの格安で間に合わせるらしい。
「そんなホテル、布団にダニとかくっつているのと違う?」
「おかん、いつの時代の話をしてるん?心配しすぎやって」と呆れかえって言われる始末だった。

社会人になってしまえば、長期の休暇なんて、結婚するときか親が死んだときくらいしかない。
お決まりのお盆休みやお正月休みは、どこへ出かけても混雑を極める。
社会人が、自分のためにゆっくり旅行を楽しめるのは年金生活に入ってから。それとて、足が痛いだの、腰が痛いだのと存分に動き回れるとは限らないのである。
「せやからな、今のうちに旅行しときや。大学生の今だけやで」と、常々長男をそそのかしていたのは、他ならぬ私なのであった。

意気揚揚と出かけた長男を見送った直後から、お尻がそわそわと落ち着かない。
「可愛い子には旅をさせろ」と言うではないかと、わが身を戒める。
夜になって、いまだに夏休みの宿題が終わらない次男の背中をぼんやりと見ていると、私の携帯が鳴った。
「おかん、今、新宿やねんけどな、ネットで安い宿を調べてくれへん?」
もう!ちゃんと計画せえへんからやとか何とか文句を言いながらも、連絡が入って一安心した。
あー、親ばか。
どうやら、私も子離れの旅が必要なようである。

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【2006/08/26 23:09】 | 未分類 トラックバック(0) |
処暑が過ぎて、暑さはおさまるはず。
確かに、今朝方は窓から涼しい風が入ってきて心地よく、朝6時に鳴る目覚ましが憎らしかった。
しかし、そんな心地よさもつかの間。
小一時間もすれば、日差しは強さを増しだし、出勤前に慌しく洗濯物を干す腕をじりじりと焼く。
寝ぼけ眼で出かける息子たちを「いってらっしゃい!」と気合を入れて見送り、火の用心、戸締りを確認した後、自転車に乗れば、いつもと変わらぬ朝の出勤光景である。
おもむろにCDウォークマンのイヤホンを着けて、最近はまっているキラーズやフリーク・キッチンを聴きながらいつもの国道を走る。
国道脇のサルビアはみな立ち枯れて哀れだが、反対側の田んぼでは稲穂がぐんぐんと背を伸ばしているようだ。
15分ほど走って職場に着くと、気のいい人たちが「おはよう!今日も自転車さ乗ってきたか?」と声を掛けてくれる。
殆どの人が車で出勤されるので、自転車出勤する私はちょっと異色なのだ。
私はどっと吹き出てきた汗を拭いながら、「うんうん、ちょっとは痩せるかもね」と笑う。
今日もいい日になりそうだ。

ふと気がつくと、あっという間に汗がひいている。
心なしか、空の青さが夏のそれとは違った透明感があり、もこもこと広がる雲を悠々と見下ろしているようだ。
汗を冷やした風にも、よくよく気をつければ、ほんの少し秋の匂いがする。
「あれ、ちょっと秋めいてきた?」
「んだなぁ、そろそろ芋煮会の相談でもすっぺ!」

暑い暑いと夏に文句を言っていたのに、つーいと赤とんぼが飛んできたりすると、不意に寂しく思ったりするのはなぜだろう。



【2006/08/24 23:27】 | 未分類 トラックバック(0) |
私の住む辺りでは、今を盛りの夏野菜がたくさん出回っている。
胡瓜、茄子、トマト、枝豆、いんげん、とうもろこしと数え上げればきりがない。
横着をして雑草だらけになっている我が家の畑でさえ、食べきれないほどのトマトやピーマンがどっさりと実をつけ、消費するのに四苦八苦している。
こんなことを言うと、野菜が高騰している都会の主婦たちから「なんてもったいないことを!」とお叱りを受けるかもしれない。

さて、ご近所の方から野菜を育てるのにも「コツ」があるとお聞きした。
たとえば、とうもろこしはうんと肥料をあたえること、逆に枝豆は肥料をあたえすぎてはいけない、過保護にしてはいけないのだそうだ。
子供をとうもろこしや枝豆に例えるのは無謀だけれど、私の育児は「とうもろこし派」、「枝豆派」のどっちだろうかと考えた。

昨日、朝食をとりながら観ていた番組で「ヘリコプター・ペアレンツ」という言葉を知った。
「ヘリコプター・ペアレンツ」とは ―― 異文化英語157回より抜粋

「子供に対して過保護とも思える親は最近の日本ではよく問題になります。マザコン、なんて言葉もありますよね。今回はアメリカでの過保護な親のお話です。子供が大学生になったにもかかわらず、大学にまで出かけて、あれやこれやと世話をやく親が増えているそうです。こういう親は「ヘリコプター・ペアレンツ」(helicopter parents)と呼ばれています。上空を旋回するヘリコプターのように、いつも自分の子供のそばにいて、そっこうで駆けつけられる態勢をとっているわけです」

へぇ、それじゃ、日本ではどうなのかと気になったので、大学の助教授をしている知人に訊いてみると、豈図らんや
「いるんだよなぁ、そういう親が」という答えが返って来た。
「大学生いうたら、大人でしょ?同じ年の人ですでに社会人になっている人だっていますやんか?」と言うと
「そう思うでしょ?私たちが学生だったころには考えられないことだけどね」
そういえば、三年前、長男がセンター試験を受けに行ったところ、付き添いの保護者たちが大挙して受験生の控え室を占領してしまい、わずかな時間でも参考書を読みたい受験生が立ちっ放しだったとこぼしていたっけ。

私とて母親の端くれだから、親御さんが心配なさる気持ちは痛いほど解る。
もっといえば、心配するのは母親の性(さが)みたいなものだから、心配するなというほうが無理な話だとも言える。
子供のためにも、心配するのはここまでというはっきりした線引きがあるわけじゃなし、そこら辺りが難しい。

うちの次男。二学期が始まったというのに、いまだに夏休みの宿題が終わっていない。
「宿題は?お風呂は?早よ寝んと、明日またしんどいで!」
もう高校生なんだから、ちっとは自分で考えさせないとと思いつつも、つい口うるさくなってしまう。
不安になって「私って過保護な母親やと思う?」と息子たちに訊いてみたところ
「さぁ、過保護なところもあると思うけど。そうでないところもあるしなぁ」と言う。
私の育児、「とうもろこし」か「枝豆」か、当分悩みそうである。





【2006/08/22 22:42】 | 未分類 トラックバック(0) |
待望の御盆休みは、高校時代の友人と共に過ごした。
お互いにすっかりオバサンになっているので、温泉三昧、美味しい物三昧の3泊4日、気兼ねなしの楽しい旅行だった。
彼女とは30年来の友人だが、二人で旅行に行ったのはこれで2度目である。
一度目は互いに離婚したばかりの頃で、二人とも幼子の手を引いての傷心旅行であった。
子供が小さいこともあって、大阪からの近場、河内長野で子供を楽しませるために、気の向かないマス釣りをした。

「そんなこともあったよね」
ちょいと気の利いた温泉旅館で、笑いながら昔話に花が咲く。
現在、彼女は開業医、私はしがないパート勤めであるが、今までの互いの健闘を讃えあった。
「あの時はどうなることかと思ったけどねぇ」友人がしみじみと言う。
彼女の息子さんは今春歯科大に入学し、将来は彼女の診療所を継ぐと思われる。
「苦労した甲斐があったってもんでしょ?」
「いやいや、学費が半端やないから、まだまだ老体に鞭打って働かんとな!」と友人はからから笑うのであった。

人生のほんの一部かもしれないが、互いに学びあった友人同士であると思う。
願わくば、これからはちょっとゆっくりさせてもらいたい。
「やれやれと思ったら、大病をするらしいよ」
それは困る。たとえ遅咲きでも、私はこれから楽しみたいのだ。
「次に会うときは、嫁の悪口を言おう」
友人の提案に、大いに賛同し、ますますの健闘を誓い合って乾杯を重ねたのでした。


【2006/08/18 23:11】 | 未分類 トラックバック(0) |
大きな声では言えないが、連日の暑さのおかげで、背中いっぱいに汗疹をつくってしまった。
若いお嬢さんたちのように、背中が大きく開いたシャツやタンクトップを着ることもないからいいようなものだが、やはり気にかかる。
おまけに、明日から大阪に住む友人が遊びに来てくれることになっていて、一緒に温泉三昧する予定なのだが、いくら女同士とはいえ、汗疹だらけの背中をお見せするのは恥ずかしい。
薬でも塗ろうかと考えて、ふと思った。
そういえば近頃は、汗疹の薬のCMを見かけない。
エアコンのおかげで、汗疹をつくる子供なんていないのかしら。
ためしに長男に訊いてみた。
「シッカロールって知ってる?」
「何それ?」
「天花粉は?」
「ああ、赤ちゃんが汗疹にならんように、お風呂上りにつけるやつやろ?」
そうそう、長男は知っているみたい。
ちなみに次男に同じことを訊いてみると、どちらも知らないという。
あなたが赤ちゃんの時に、つけていたでしょ?覚えているわけないか…。

あれは何という汗疹の薬だったのだろう。
私が子供の頃こと。
夏の夕暮れ、お風呂上りにつけてもらったのは、紺色の筒状の小瓶に入った白いねっとりとした液体だった。
白い蓋のうらに小さなヘラがくっついていて、祖母がそのヘラで液体を掬い取り、私の首周り、おでこに塗っていく。
あげくは、眉間から鼻の頭にかけて塗るものだから、まるで競馬の馬のようになる。
薬は湿布薬のようなスースーした匂いがして、お風呂上りのほてった体から熱が引いていくようで、気持ちが良かった。
この薬、乾くとパリパリに固まるのだが、なにしろ子供のことである。
お風呂上りですっきりしたというのに、またすぐ遊び始めて汗をかく。
するとパリパリに固まった薬は、再び汗に流れて元の木阿弥になってしまうのだった。
夏の夕暮れのお風呂屋さんと言えば、蚊取り線香の匂いと、この汗疹の薬のスースーした匂いを思い出す。
今でも、あの薬は売っているのかしら。
ちょっと塗ってみたい気がする今宵でした。


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【2006/08/12 23:07】 | 未分類 トラックバック(0) |
日本全国、猛暑に見舞われている。
特に西日本の暑さは酷いようで、大阪、京都に住む友人からは連日
「暑くて、暑くて。クーラー無しでは生きていけません」とか
「色気なんてどうでもいいわ。タオルを首に巻いて仕事をしています」などなど、気の毒なメールが届く。

東北とはいえ、私の住んでいるところは盆地であるから、日中は30度を軽く上回る。
しかしながら、ありがたいことに夜は熱帯夜になることはなく、隣家が離れていることもあって、夜でも遠慮なく家中の窓を開け放つことが出来る。
用心深い次男が「いやいや、おかん、窓の開けっ放しは、なんぼ田舎でも無用心やで」と言うが、私は聞く耳をもたず、平気の平助である。
昼間とは打って変わった涼しい風に縁側の風鈴が「ちりん」と揺れ、なんという名の虫だったろう、「スイーッチョン、スイーッチョン」と小気味よい声が庭から聞こえてくる。

ここらあたりのスーパーでは、お盆休みの帰省客を迎える準備で随分と賑やかである。
葡萄や桃、西瓜などの果物、立派な「夕顔」をはじめ夏野菜が所狭しと並べられ、館内に流れるBGMまでがいつもよりアップテンポだ。
夏休みを利用して、親御さんより一足先に田舎へ帰ってきた子供たちが、おじいちゃん、おばあちゃんと楽しそうに買い物をしているのも微笑ましい。
両親はすでに亡く、お盆休みに大阪へ帰ったところで、友人知人は旅行に出かけてほとんどが留守という寂しい身の上には、胸が痛くなるほど羨ましい光景である。
なんだかちょっと気が沈む今宵、目を奪われるような月が出ていた。

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ああ、こんなにきれいなお月様が見られるのなら、ちょっとくらい寂しくてもずっとずっとここに住んでいられそう。

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【2006/08/10 23:19】 | 未分類 トラックバック(0) |
焼き鱧を頂いたあたりで、ぬる燗のお銚子はすでに2本目。
友人も私も、ほろりといい気分である。

京都 鱧料理5


皮目を焼いた「焼き霜の鱧」が出された。
火を通しすぎず、さっぱりとした味わいで、木の芽があしらわれていた。
京都は山椒がお好きなのねぇ。
それにしても、お世話をしてくださっている板さんの、お料理をだしてくださるタイミングの良さには驚く。
「そう思うやろ?ここのお店の人は、ほんまにお行儀がええさかい、どなたをお連れしても安心やねんわ」
と、友人もご満悦の様子である。


京都 鱧料理6


さて、いよいよ「鱧しゃぶ」の登場となった。
お鍋の中は、大ぶりに切った淡路の玉ねぎと自家製のお豆腐、ささがき牛蒡、
それと「しゃぶしゃぶ」にしては随分と少なめのお出汁が入っているだけである。
板さんが、新しく用意されたお猪口に、少しずつお出汁を入れてすすめてくださった。
「!」
友人と顔を見合わせて、思わずにっこり。
いやぁ、美味しい~。ええお出汁どすなぁ
お出汁は、鱧の骨をじっくり煮込んでとるということだった。

京都 鱧料理6


「ご家庭では、お昆布と鱧の骨でお出汁をとりはったら、それで充分とちゃいますか?」
板さんはにこにこしながら仰るが、いやいや我が家ではとてもとても…。
お出汁が出る前に、息子たちのお箸がのびるに決まっている。
うす造りにされた鱧の切り身を、さっとお出汁につけていただく。
繊細なお出汁があっさりとした鱧の身を、よりいっそう上品に、かつ旨味を引き出してくれているようだ。
自家製のお豆腐は甘くなめらかで、玉ねぎの甘さ、牛蒡の香りの良さは言うまでもない。


京都 鱧料理6


締めは「にゅうめん」
この繊細なお出汁には、細い麺が実によく合う。

帰り際、玄関まで見送ってくださった板さん、
ごちそうさま。鱧を十二分に堪能させていただきました。

「ああ、お腹いっぱいやなぁ。ちょっと歩こか」
ええー!?歩くの?
「美味しいから、つい食べ過ぎてしもたわ。このまま寝たら、胃がもたれるよってに」
というわけで、夜10時近くになっても気温28度の花見小路を歩いて、ホテルに帰ったのでした。

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【2006/08/08 21:50】 | 未分類 トラックバック(0) |
先月の末、急用のため帰阪。
予想を超える猛暑に、少々忙しくても翌朝はさっさと退散しようと考えていた。
「せっかく帰ってきたのに、鱧を食べに行かんとあかんわ」と、京都に住む旧友が言う。
関西の夏、とりわけ京都の夏はなんといっても「鱧」が美味しい。
だけどなぁ、京都もかなり暑いだろうなぁ
「美味しい鱧しゃぶを食べさせてくれはるお店知っているさかいに。予約しとくし」
はんなりとした物言いではあるが、彼女は自信たっぷりに勧めてくれるので、私もつい話にのってしまった。

昼間の熱気いまだ冷めやらぬ、夕暮れの四条通りを汗だくになって歩き、着いたのは八坂神社のふもと。
打ち水されたお店の玄関は、涼しげに暖簾が揺れていた。
「おこしやす」
からからと玄関戸を開けると、若き板さんが愛想よく迎えてくださった。
階段を上り、通されたのは六畳くらいのこじんまりとした部屋で、ほどよくクーラーがきいている。
こちらの常連であろう友人が、板さんとかるく世間話をしている間に、汗はすっすっとひいていく。
私たちが落ち着いた頃を見計らって、前菜にだされたのは「茄子豆腐」と
「鱧さく」
「茄子豆腐」はお店の新作料理だということで、すすめられたのだが、
お茄子の上品な甘さと極上のお出汁が絶品で、写真を撮るのを忘れてしまい、後悔することしきり。


京都 鱧料理1


まずは、お馴染みの「牡丹鱧のお吸い物」
じゅんさいが惜しげもなく使われており、吸い口は松茸という贅沢な一品であった。

京都 鱧料理2

京都 鱧料理3


続いて出されたのは「鱧のお刺身」
薄造りにされた身は、見た目に涼しく、ほんのり甘い。
骨がちっとも口に障らないのは、どうしてだろう。
マカロニに似た形のものがお皿に乗っている。
「これはなんですか?」と板さんに訊くと、鱧の浮き袋だと仰る。
食べてみると、あら不思議な食感。こりこりでもなく、もっちりでもなく。
珍味でございました。

京都 鱧料理4


「焼き鱧」は、しっかり煮詰めた「ツメ」と粘り気が少なめのとろろがかけられている。
それにしても、ずいぶんと肥えた鱧である。
「こんな大きい鱧やったら、たいがい臭かったりするんやけど。ほんまに美味しいわ」
友人はストレートに感想を述べる性質(たち)で、時折、周囲をひやりとさせることもあるが、このときもまっすぐに褒めている。
板さんは満面の笑みで仰った。
「おおきに」

つづきは明日に。

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【2006/08/06 22:09】 | 未分類 トラックバック(0) |
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