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昨日、2月11日は私の父の命日。
自分の年を思えば、28才の若さで死んだ父がどれほど無念だったろうかと胸が痛む。
父は若手の浪曲師で、母は上方浪曲の大御所と言われていた祖父の次女だった。
長崎の原爆で両親を失い、家庭的にも経済的にも恵まれていなかった父が、祖父に母との結婚を願い出るのは勇気のいることであったろう。
「ちゃうちゃう、私がお父さんにお願いしたんや」と母は言っていたが、
それが本当なら、父は男としてちょっと情けない気がする。
娘でもよほどの用がないかぎり入らなかった離れの間で
「お父さん、あの人と結婚させてください」と両手をつく母に、
「あほ!」としか祖父は言わなかったという。
結局、二人は駆け落ち同然で結婚したのだが、娘二人をもうけてこれからという時に、父は事故で死んだのだった。

大きくなるにつれ、私は父を知る人みなから「いやぁ、お父ちゃんにそっくりや!」と言われた。
年頃の娘は、なぜか母親に似たくないものである。
その上、母はお世辞にも別嬪さんとは呼べない器量であったし、父は「二枚目」でとおっていたと聞いていたので、「父親似」と言われるのが嬉しかった。

ある日、私の「父親似」を確認したくなり、着物の衿を縫っていた母に訊いてみた。
「なぁ、お母ちゃん、私ってそんなにお父ちゃんに似てる?」
当然「うん、よう似てる」という答えが返ってくるものと思っていたのに、
「あんたの手、指、お父ちゃんと一緒やで」という。
「え~?手と指だけ?」
「心配せんでも、年いったらお母ちゃんに似てくるって」

最近になってからである。
毎朝、布団から自分の手を突き出して眺めるようになった。
雪国に越してきてから少し白くなったような気がして、ちょっと嬉しくなったり、指の節がいかつくなり、甲の皮膚が湯葉のように薄くなってきたなと心寂しく思ったりする。
「!」
母が晩年、同じように朝の布団の中で手を眺めていたことを思い出したのである。
娘の私がそうであるように、母も自分の両手に「老い」を見つめていたのだろうか。

――父親似の手指を、母親似の仕草で眺める
いくつになっても、やっぱり私はお父ちゃんとお母ちゃんの娘です。



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【2006/02/12 23:52】 | 未分類 トラックバック(0) |


嵯峨 ふたこ
 はじめまして。嵯峨と申します。先日は拙い文章にコメントを頂きありがとうございました。まったくコメントがなく寂しい状態だったのでものすごく感激しました
 嵯峨もまだまだブログを始めたての新米。半分自分の小説を宣伝するために始めたブログですが今では逆に他の方のブログを回るのが趣味になってしまった今日この頃。末永くお付き合いいただければ幸いです

 senjuさんの今回のお話とても興味深く思いました。本当父親似、母親似って不思議ですよね。嵯峨は父の知り合いにあうと「お父さんそっくりだねー」と、そして母の知り合いに会うと「お母さんそっくりだねー」とよく言われます

 結局両親の子供ってことなんですよね(当たり前だけど)

 でも友人からはあまり両親とは似て無いといわれます。むむむ、何故だろう?
 人ってどうやって似てるとか似てないとかを感じているんでしょう? ……不思議だ
 



senju
コメントをありがとうございます。
日毎、嵯峨さんのブログを拝見していますが、私などには口をはさむ余地などありませんので、ただただ拝見するばかりです。
それにしても、ネットというものは不思議です。
私よりうんとお若い嵯峨さんのお話を、ゆっくりとお茶を飲みながら聞いているような気がするのですから。
これからもよろしくお願いします。



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コメント
この記事へのコメント
 はじめまして。嵯峨と申します。先日は拙い文章にコメントを頂きありがとうございました。まったくコメントがなく寂しい状態だったのでものすごく感激しました
 嵯峨もまだまだブログを始めたての新米。半分自分の小説を宣伝するために始めたブログですが今では逆に他の方のブログを回るのが趣味になってしまった今日この頃。末永くお付き合いいただければ幸いです

 senjuさんの今回のお話とても興味深く思いました。本当父親似、母親似って不思議ですよね。嵯峨は父の知り合いにあうと「お父さんそっくりだねー」と、そして母の知り合いに会うと「お母さんそっくりだねー」とよく言われます

 結局両親の子供ってことなんですよね(当たり前だけど)

 でも友人からはあまり両親とは似て無いといわれます。むむむ、何故だろう?
 人ってどうやって似てるとか似てないとかを感じているんでしょう? ……不思議だ
 
2006/02/13(Mon) 23:37 | URL  | 嵯峨 ふたこ #PnB0W.4w[ 編集]
コメントをありがとうございます。
日毎、嵯峨さんのブログを拝見していますが、私などには口をはさむ余地などありませんので、ただただ拝見するばかりです。
それにしても、ネットというものは不思議です。
私よりうんとお若い嵯峨さんのお話を、ゆっくりとお茶を飲みながら聞いているような気がするのですから。
これからもよろしくお願いします。

2006/02/16(Thu) 23:19 | URL  | senju #-[ 編集]
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