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通り雨に濡れた山の美しい緑が左右からせまる道を、湯野上温泉を目指して走ったのは、15分くらいだったろうか。
会津鉄道会津線湯野上温泉駅は駅舎が茅葺屋根らしいと同行人が言うので、さっそく拝見しに行くことにする。

湯野上温泉駅



こじんまりとして素朴な駅舎だが、辛抱強く人を待ってくれるような強いあたたかさがあった。
子育てに忙しい親ツバメがせわしく飛び交っている。
それもそのはず。茅葺の裏側にある巣から、雛たちが顔を出して親ツバメが餌を運んでくるのを待っているからだ。
ここなら、さぞやあたたかくて、親も子も安心だろう。

湯野上温泉駅構内2


湯野上温泉駅、内部



駅舎内は囲炉裏があって、時間待ちする人のためにか、お茶と本が用意されていた。
ここは、電車を待つ人はもちろんのこと、ぶらりと訪れてお茶をすすり、ぼんやりと時間をやり過ごしていいところだ。
ちゃっかりとお土産コーナーがあったりするのもいい。


温泉饅頭


「湯野上温泉饅頭」をぱくつきながら、茅葺屋根の内側を仰いでみると、梁は囲炉裏から出る煤で黒光りしていた。
「茅葺のお家って、いいなぁ」と私が洩らすと
「茅葺の家ってね、住むと見るとでは大違い。わたしゃ、10年前まで住んで いたから分かるのよ。夏はいいけど、冬は半端なく寒い。
 今みたいにサッシドアがあるわけじゃなし、私なんて学生のころ、冬は万年 筆のインクが凍ったんだからね。」
なるほど、そんな苦労があったのか。
豪雪地に住む彼女。10年余り前まで茅葺のお家に住んでいたのだというから、説得力がある。

お蕎麦と岩魚でお腹いっぱいになっているにもかかわらず、郷土料理を食べようということになり、国道にでると何やら「のぼり」がたっている。
ここ下郷町では「じゅうねん(えごま)焼酎」発売一周年記念のイベントが催されていたのだった。
イベントはほぼ終了で、スタッフの方たちはそろそろ打ち上げの準備にかかっていたようだが、えいとばかりに会場に入ってみると地元の奥さんたちが囲炉裏で珍しいものを焼いていらっしゃる。


しんごろう


これは「しんごろう」といって、うるち米に味噌を塗り、囲炉裏で焼いたもの。
昔、稲の収穫が終わると、親族一同が囲炉裏端に集まって、新米に自家製の味噌を塗った「しんごろう」を楽しんだという。
「昔は本当にご馳走だった。今みたいに食べるものが豊富じゃなかったから」
と、地元の奥さんは懐かしそうにに目を細めていらした。

稲を育て収穫するまで、どれほど難儀されたことだろう。
雨に風に、太陽に、祈るような気持ちで自然とむきあってこられたにちがいない。
収穫が終わって、その苦労を分かち合った親族一同が囲炉裏端に集まる。
女たちは新米で「しんごろう」を焼き、男たちは少しお酒を飲んで上機嫌。
一家の台所を預かるお嫁さんは、自家製の味噌を自慢げに「しんごろう」にぬっただろうか。
そんな茅葺のどっしりした屋根を抱えた強く優しい家からは、障子越しの丸い明りとともに賑やかな笑い声が洩れてくる。
庭では、隅に片付けられた農機具の下で、コオロギがころころと鳴いている。

会津下郷町で出会った人たちから、そんな羨ましい光景を想像してしまった。
勝手に想像したのだが、えらく感動して「じゅうねん焼酎」を購入し、帰途に着く。
すっかり、福島ファンになった一日でありました。



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【2006/06/20 23:29】 | 未分類 トラックバック(0) |
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