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8月に帰阪した際、親友から1冊の絵本をもらった。
絵本の作者は、親友の娘さんである。
文・絵の横に書いてあるペンネームをみると、姓名の名が私の名前と同じなのでびっくりした。
私の名前は、字面が男名である。
「そこが素敵だと、娘が気にいったらしくて」と親友が恐縮した様子で言う。
子供のころから、名前が原因のトラブルは数知れず、大抵は「変わった名前だ」と言われた。
名前を褒められたのは、親友の娘さんで2人目。
1人目は同じ職場の男の人で、失礼ながら、おおよそ世の女性の目を惹く要素を一つも持ち合わせていない風貌の人であるが、彼から「粋な名前ですね」と言われたとき、私は一瞬彼のことが好きになった。

さて、絵本はとても素敵な作品だった。
幼い子供向きではなく、小学校高学年から中学生くらいの子、いやいや、大人も十分に楽しめる内容である。
文章もさることながら、絵がまた良い。
オオカミが主人公なのだが、孤独で哀愁があって、純粋で、純粋な分だけトンマで。
私はとても羨ましかった。
文も絵も、一人で書きあげてしまう親友の娘さんの力が、妬ましいほどに羨ましかった。
数日後、娘さんに絵本をもらったお礼のメールを送った。
絵本の感想も書き添えたが、もっともらしい感想の底には嫉妬がへばりついていたと思う。

今夜、次男の中学時代の友達、K君が遊びに来てくれた。
私はK君の大ファンである。
圧倒的な読書量と頭の良さが光る彼は、物腰が穏やかで育ちの良さを感じさせる。
夕食のお好み焼きを焼きながら、「お父さん、お母さんはお元気?」と訊くと
「はい、元気にしております。揃って佐渡に出かけていますが、旅行なのかな、(医学)学会なのかな?」と首を傾げている。
いい加減な息子ですよねと笑い、我が家のお好み焼きを美味しいと言って食べてくれる。
ふと、K君に親友の娘さんが書いた絵本を読んでもらって、感想を聞きたいと思った。
親友の娘さんにしたって、親と同い年のオバサンの感想より、ほぼ同年代の感想の方が後々の糧になるのではあるまいか。
K君に「読んでみて」と絵本を渡すと、「あ、嬉しいな、絵本、大好きなんです」と言う。
汚してはいけないので、食事が済んでからと、丁寧に絵本を扱っていた。

食事の後片付けが終わって、私が部屋にこもろうとすると、K君が「絵本の感想を」ときりだした。
「幸せって、求めて得られるものではないんですね、そう思いました」
私が述べた感想より、K君の感想の方が絵本の主題に触れたのは明らかで、書けばキザともとれる感想は実際には率直で、少なくとも嫉妬のかけらもなかった。








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【2009/09/06 00:01】 | エッセイ トラックバック(0) |
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