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大阪からこちらへ越してきて、来年の2月で丸5年になる。
おかげさまで、スーパーに出かけても、ゴミ一つ出しに行っても、誰かしら声を掛けてくださるようになったが、越してきた当初は、こうではなかった。

もうこんなところはイヤ!明日こそ大阪へ帰ろう。
「はよ、帰ってきぃや」
友達の言葉が担保になるじゃないか。
息子たちはきっと分ってくれる。
「いやあ~、やっぱり大阪に面倒みてもらうわ」と冗談めかしてしまえばいい。
いつ降り止むのか知れない雪が恨めしく、上りの新幹線を見てはため息をついていた。

大阪へ帰るチャンスを逃しているうちに、東北に越してきた記念植樹と称して、庭に植えた枝垂桜が三年目に花をつけ、物置小屋の隣りに、ひとりで芽を出した合歓の木がずんずんと大きくなった。
桜や合歓に、自分の人生を引き換えるほどの責任を感じなくてもいいのだろうが、うんと力をためている彼らがいじらしい。
その頃から「もうちょっとだけ、ここにいようかな」と思うようになった。

東北には「三泣き」という言葉があると聞いた。
余所者が東北に越してくると、最初は馴染めなくて泣き、馴染んで知る人情に泣き、やがて東北に別れを告げるその辛さに泣くという。

今夜、お知り合いになった農家の奥さんから電話を頂戴した。
「今年のお米はどうですか」と訊くと
「んだなぁ、収穫してみないとわかんねぇけんど」
彼女は、我が家の息子たちが無類の米好きだということをご存知である。
「うちの米さ、買うか?」
訊けば、価格はスーパーより格安で、ハイクオリティ。
ええ、ええ、もちろん!
でも、10キロ、20キロ、彼女の家から我が家まで、そんなに重いものをどうやって自転車で運ぼうか。
「運んでやっから、心配いらねぇ」
それではお商売にならないでしょうと言うと、
「新米はうめぇから」

私は二番目の「泣き」に泣きます。

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【2006/09/23 00:59】 | 未分類 トラックバック(0) |

人情、いいなあ~
ジェロ夫
スゴくいい話です!
思いやりのある人付き合いができていて羨ましいです。

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コメント
この記事へのコメント
人情、いいなあ~
スゴくいい話です!
思いやりのある人付き合いができていて羨ましいです。
2006/09/23(Sat) 10:20 | URL  | ジェロ夫 #-[ 編集]
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